「こだまでしょうか」

サラリーマン川柳では、「こだまでしょうか」がネタに使われています。

頼んでも “こだまでしょうか”と かわす妻

「おーい飯!」 こだまでしょうか 「おーい飯!」

震災後のACのCMでクローズアップされた、山口県出身の詩人、金子みすゞの作品。
こだまのように何回も流れたCMではありましたが、心に深く響くことばでした。

『こだまでしょうか』


「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
 

「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
 

「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。

 
そうして、あとで
さみしくなって、
 

「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。

 
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。


その他にも、

『私と小鳥と鈴と』


私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。

 
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんの唄は知らないよ。

 
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。


今日は雪が降っているので、

『淡雪』


雪がふる、
雪がふる。


落ちては消えて
どろどろな、
ぬかるみになりに
雪がふる。


兄から、姉から、
おととにいもと、
あとから、あとから
雪がふる。


おもしろさうに
舞ひながら、
ぬかるみになりに
雪がふる。


金子みすゞは26歳で生涯を閉じたそうです。

こだまでしょうか、いいえ、誰でも。―金子みすヾ詩集選

こだまでしょうか、いいえ、誰でも。―金子みすヾ詩集選