貸倒引当金に関する税制改正

法人税法上の貸倒引当金に関しては、中小企業や銀行、保険会社等の一定の法人については従来の取扱いが継続される一方、一般の事業法人については貸倒引当金の損金算入が認められなくなります。


改正には経過措置が設けられていますが、新法と旧法との選択適用が可能であり、その選択によって有利・不利の差が出てきます。
これについては、税務通信等でも図解の解説がありましたが、まずは視覚的に理解するのがよいと思います。


税務ニュースレター(新日本アーンスト アンド ヤング税理士法人)


経過措置の有利・不利については、下記のとおりです。


(1)個別評価金銭債権
金銭債権ごとに新法・旧法を選択できるので、改正後は対象とならない金銭債権は旧法を、改正後も対象となる金銭債権は新法を適用するのが有利になると思われます。


(2)一括評価金銭債権
金銭債権ごとに新法・旧法を選択できるようにはなっていません。
適用事業年度ごとに新法・旧法を選択適用します。
3月決算の場合、2013年3月期では、
(ア)旧法の3/4(過去3年間の実績率で計算した金額の3/4)
(イ)新法(新法で対象となる債権について、過去3年間の実績率で計算)
(ウ)新法(新法で対象となる債権について、2013年3月期の実績率で計算)
この中で有利なものを選択できます。


ところで、金融機関については下記の本が良いと思います。
金融機関の貸倒引当金については、従来の取扱いが継続されるので、税制改正の影響はほとんどないでしょう。
(信用金庫や信用組合などでは、一括評価金銭債権の貸倒引当金の法定繰入率の16%割増特例が、平成25年3月期から12%に縮減されます。)

金融機関の不良債権償却必携―金融円滑化時代の最新の全償却実務を収載

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