「マネー・ボール」とその後

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マネー・ボール (RHブックス・プラス)

マネー・ボール (RHブックス・プラス)


確かに、アスレチックスは選手の目利きがいいチームと思ってはいましたが、こんなに方針が徹底したチームとは思ってはいませんでした。
スリーアウトで終わりならば、アウトの可能性が低い攻撃ほど良い。
盗塁や犠打はアウトの可能性を増やすもので、アウトにならず出塁すれば安打でなくとも四球でもよい。出塁率が重要。


主人公ビリー・ビーン*1が1997年10月にGMに就任してからの成績。
地区優勝4回:2000、2002、2003、2006
ワイルド・カード1回:2001


ワールド・シリーズ9回制覇の名門ですが、最後の制覇は1989年。
今年カージナルスでワールド・シリーズを制したラルーサが監督、野手はカンセコ*2マグワイアリッキー・ヘンダーソン、投手はウェルチ、スチュワート、エカーズリーなど錚々たるメンバーがそろい、資金力も豊富でした。
ドラフトの目玉とされ将来を嘱望されたビリー・ビーンがその同じ年に同じチームのベンチ要因で約5年の選手キャリアを終えました。
その後、スカウトやGMアシスタントを務めたりしますが、オーナーが死去で交代し財政状況が厳しくなってGMに就任し、出塁率長打率を重視する方針を徹底し、少ない資金力でヤンキースに匹敵する勝ち星を積み上げていきます。


さて、本書には今でもMLBで活躍する選手が多数登場します。
下記はその一部です。


【野手】
ニック・スウィッシャー
ジェレミー・ブラウン⇒あれ、結局メジャー出場は1年だけ。
ジェイソン・ジアンビ⇒アスレチックス時代のOPS*3は圧倒的ですね。
エリック・チャベス
スコット・ハッテバーグ⇒四球が多く三振が少ない。
カルロス・ペーニャ⇒アスレチックスでは芽が出なかった。
マット・ホリデーOPS高いです。
ジャーメイン・ダイ
ジョニー・デイモン⇒アスレチックス在籍は1シーズンのみ。


【投手】
バリー・ジト⇒WHIP*4が安定しています。
チャド・ブラッドフォード
リカルド・リンコン


【本には出ていないけど】
松井秀喜
藪恵壹


ただ、アスレチックスも近年は地区優勝から遠ざかり、盗塁や犠打も活用しDRS*5を重視した補強を行っているとのことです。


既存の数値の見方への疑問、新しい考え方の構築とそれに基づく戦略の徹底。
見習うところは多いです。

さて、アスレチックスは、松井秀喜選手をどういう観点でとったのでしょうか。
↓エンジェルス時代の生写真です。




*1:現在もGM

*2:(@JoseCanseco)twitter 内容が少々ファンキー。

*3:OPS(オーピーエス)はOn-base plus slugging(オンベース・プラス・スラッギング)の略であり、野球において打者を評価する指標の1つ。出塁率長打率とを足し合わせた値。セイバーメトリクスの祖、ビル・ジェームズがディック・クレイマー、ピート・パーマーと共同開発した指標。

*4:WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched、「投球回あたり与四球・被安打数合計」)とは、野球における投手の成績評価項目の1つで、被安打数と与四球数(与死球数は含まない)を投球回数で割った数値を指す。これにより、おおむね1イニングあたり何人の走者(=(対戦打者数-3×投球回数)/投球回数; 与死球や失策、振り逃げなどによる出塁は含まれないので実際にはこれよりも多くなる)を出したかを表す。

*5:守備防御点(Defensive Runs Saved)とは、野球における守備力を測るための指標である。シーズンを通してどれだけ平均的野手と比べて失点を防いだか・招いたかを数値化したもの。