簡易合併の可否(その2)

親会社が子会社を合併しようとする場合、子会社が債務超過の場合はまたは合併差損が出るような場合は原則として簡易合併ができず、親会社の株主総会において承認が必要となります。親会社が上場会社である場合、簡易合併ができないと機動的に臨時株主総会を招集するのは手間・コストがかかるため、定時総会での承認が多くなります。


しかし、子会社が債務超過でも簡易合併できる場合があります。それは、連結財務諸表において子会社の帳簿価額を修正している場合で、その修正簿価によった場合子会社が債務超過でない場合、または合併差損が生じない場合です。


親会社と子会社が合併する場合で、親会社が作成する連結財務諸表において当該子会社の資産及び負債の帳簿価額を修正している場合は、個別財務諸表上も連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額により計上します(「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」第207項)。すなわち、合併前と合併後で連結財務諸表の姿が同じになるようにする趣旨です。


資本連結にあたり子会社の資産・負債を時価評価している場合などが該当します。例えば、連結上で子会社の土地を支配獲得時に時価評価し簿価が単体よりもアップしている場合、合併における子会社の財務諸表もその修正簿価を用いる結果、債務超過が回避され合併差損も生じなくなれば、簡易合併は可能です。修正簿価によったにせよ、合併によって親会社の純資産がただちに毀損するわけではありません。