白状前の適時開示

オリンパスについては毎日新たな事実が報道されていますが、そもそもの過去の買収についての大きな疑惑の中身が明らかになったのが『FACTA』の記事とその中での「株主価値算定書」でしょう。


その後、オリンパスは、2011年10月27日に、その疑惑に反論する内容の適時開示をおこなっています。

「当社の過去の買収案件に関する追加情報について」
「当社の過去の買収案件に関する追加情報(補足資料)」


しかし、11月8日には「過去の損失計上についてのお知らせ」で、ついに白状することになったのは周知のとおりです。


ひるがえって、10月27日の適時開示は、そもそもなぜこのような巨額な手数料を払ったのか、
なぜ夢のような事業計画をもとに買収を決定したのか、
なぜ本業との関連が薄そうな3社(しかも、住所が同じ)の買収を決定したのか、
などの当時渦巻いていた世間の疑問にきちんと応える内容ではなかったので、
疑惑の念を益々強くしたのを覚えています。


結局、そもそも説明できない大きな問題だった訳ですが、
補足資料を含めて資料を作成した事務方は、少なくとも腑に落ちない多くの部分をかかえながらも、
多くの情報開示資料の作成に奔走していたと推測され、
そのような立場を思うと同情を禁じえません。


ところで、買収決定の正当性を主張する理由の中に、
「外部第三者機関による事業価値の算定がなされており...」とありました。
しかし、その中身といえば「FACTA」記事で明らかになったように、
オリンパスの意向に沿ったお粗末な計算書でした。
算定した会計士にすれば、「もらった事業計画を前提に価値を計算した報告書だと書いているでしょう。」
ということでしょう。
しかし、結局は正当性の根拠のひとつとして利用された訳であり、
専門家としての常識が問われた部分でもありました。